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大阪地方裁判所 昭和55年(わ)6171号 判決 1981年4月15日

主文

被告人を懲役一年に処する。

この裁判が確定した日から四年間右刑の執行を猶予する。

被告人を右猶予の期間中保護観察に付する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、昭和五五年九月末ころ、山本博から大麻密輸入の計画をもちかけられ、密輸入した大麻の一部を被告人がもらいうける約束のもとに、その資金の一部を山本に提供しかつ実行担当者を探索して山本に紹介することを承諾し、そのころ山本が田中大也に、同年一〇月上旬ころ被告人及び山本が中野正彦に、それぞれその情を明かして協力を求めたところ、同人らはこれを承諾し、ここに右四名は意思相通じて共謀のうえ、

第一  法定の除外事由がないのに、昭和五五年一〇月二七日、右中野及び田中の両名において、タイ国で購入した乾燥大麻一、四一四グラムを右中野の着衣内やシヨルダーバツク内に隠匿携帯してバンコツク空港からタイ国際航空TG六二〇便に搭乗し、同日午後八時三五分ころ、大阪府豊中市螢池西町三丁目五五五番地大阪国際空港に到着して、右大麻を本邦内に持ち込み、もつてこれを輸入し

第二  同日午後八時四五分ころ、右中野において、右大阪国際空港内伊丹空港税関支署旅具検査場で旅具検査を受けるにあたり、右乾燥大麻一、四一四グラムを隠匿携帯したまま同税関支署長の許可を受けないでこれを輸入しようとしたが、同支署係員に発見されてその目的を遂げなかつたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示第一の所為は刑法六〇条、大麻取締法二四条二号、四条一号に、判示第二の所為は刑法六〇条、関税法一一一条二項・一項にそれぞれ該当するところ、判示第二の罪について所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により重い判示第一の罪の刑に同法四七条但書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、なお被告人は昭和五五年七月一日大阪地方裁判所で大麻取締法違反の罪により懲役一年六月に処せられ三年間その刑の執行を猶予され、本件の罪はその猶予の期間内に犯したものであつて、その責任は軽くないが、被告人は、当初山本から本件犯行への参加を求められた際、執行猶予中の身であることを意識していつたん断つたものの、重ねて同人から頼まれてこれを断り切れず、しぶしぶ参加したふしがうかがわれ、その参加の態様も従犯的である等諸般の事情を考慮し、同法二五条二項を適用してこの裁判の確定した日から四年間右刑の執行を猶予し、同法二五条の二第一項後段により右猶予の期間中被告人を保護観察に付し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により全部これを被告人に負担させることとする。判示の大麻については、関税法一一八条による没収及び追徴の対象となるものであるが、すでに共犯者田中大也及び同中野正彦からこれを没収する旨の裁判がなされその裁判が確定しているので、被告人からこれを没収し、またはその価額を追徴することはしないこととする。

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